概念

「メイン」と「ビレイ」という考え方

どうも、ゆうだいマンです。

今回は、ロープアクセスやレスキューを行う際に、耳にタコができるくらい耳にすることになる「メイン」と「ビレイ」という考え方について考えていきましょう。

これらの考え方は、これから必ず必要になって来ると思います。

ロープについて学びはじめの人も熟練したロープユーザーでもつねに確認しておきたい概念です。

それでは、いきましょう!

ロープアクセスによる「メイン」と「ビレイ」

ロープアクセスによる「メイン」とは、ユーザーが主に体重を乗せるロープのことを言います。

簡単に言うと、ガチャガチャとギアを付ける方のロープのことですね(笑)

(ガチャガチャロープと覚えましょう→冗談です)

そして、ロープアクセスによる「ビレイ」とは、メインが破断したときにユーザーを確保するためのバックアップラインとなります。

具体的に言うと、墜落防止機(フォールアレスター)を「ビレイ」のラインに取り付けます。(下降器で余長を取るのも可)

「メイン」には、いくつものギアがついているのに対し、「ビレイ」には、墜落防止機が1つしかついていません。

この2つは必ずわけていなければならないのですが、「ビレイ」のラインにギアを付けてしまったり、作業中に墜落防止機を外してしまったりするようなヒューマンエラーもよく起こるのでしっかりと頭の中で整理して活動を行うことが大切になります。

余談ですが、私も消防士の救助隊時代に、幾度となく「メイン」と「ビレイ」をごちゃごちゃにしてしまい、先輩方に怒られていました^^;

今となっては良き思い出です(笑)

ロープレスキューにおける「メイン」と「ビレイ」

「メイン・ビレイシステム」の概要

ロープレスキューにおける考え方も基本的には同じなのですが、現在は「メイン・ビレイシステム」よりも「ツーテンションシステム」というシステムが主流となっています。

「ツーテンションシステム」については、詳しい記事を後日投稿したいと思います。

「メイン・ビレイシステム」とは、救助を行う2本のロープを100%引揚げ担当、100%バックアップ担当と分けるシステムの組み方をします。

詳しくは、下の写真をご覧ください。

↑アサップロックでビレイをとったとき

↑リグ(下降器)でビレイをとったとき

写真を見てもわかるように、2つのうち片方のメインのみに倍力システムを組み、左側のアサップロック、リグの余長をとるというのが一連の流れになります。

ビレイのやり方については、アサップロックを使う方法、下降器を使う方法、プルージックコードを使う方法などがあります。

このときのロープにかかるテンションは、メイン:ビレイ=100:0となります。

引揚げと引き下ろし(ホーリングとロワーリング)の作業はメインラインで行い、ビレイラインは余長を取るような感じになります。

アサップロックを使う場合は、下の動画のようにカラビナで折り返すことで作業しやすくなります。

「メイン・ビレイシステム」のデメリット

このシステムのデメリットは、ロープにかかるテンションが100:0と極端な比率となっているため、メインのラインが破断したとき、100の荷重+衝撃荷重がビレイのラインにかかるため同じく破断してしまう可能性があるということです。

「衝撃荷重の恐ろしさ」についての記事も後日出したいと思います。

このリスクを最大限まで下げたのが「ツーテンションシステム」といって2本ロープに均等に荷重を乗せてホーリングとロワーリングを行うシステムです。

だから、このシステムが主流となっています。

↑このように双方のロープに同じシステムを組む(写真は、両方3倍力)

「メイン・ビレイシステム」をどのような場面で使えばいいのか

レスキューシステムの主流がツーテンションシステムであるとはいえ、メイン・ビレイシステムを使うべきシチュエーションというのは存在します。

例にあげると、要救助者のフルボディハーネスを使用して救助を行う場合、はしごクレーンを行う場合、山岳救助で斜面で救助を行う場合などがあります。

ツーテンションのシステムには、均等に2本のロープに荷重をかけること、両方とも同じシステムを組むこと(片方で5倍力を組んだらもう一方も5倍力を組む)という特徴があります。

つまり、メイン・ビレイシステムに比べて、隣のリガーと同じテンション活動するスキルやごちゃごちゃしたロープを整理しながら活動する俗に言う「気配り力」が必要となります。

そして、ギアの数も倍必要となるので、山岳救助などの現場では不向きな技術であると言えます。

要は、使い所ということですね(笑)

まとめ

「ツーテンションシステムしか選択肢がない」と考えてしまうと救助のアイデアが出なくなるようなことがあるかもしれませんが、メイン・ビレイのシステムの引き出しを組み合わせることで新たなアイデアが生まれてくると思います!

「ツーテンションじゃ難しいなあ。あ、メイン・ビレイならいけるかも!」みたいな発想が出てきてくれたら今回この記事を出した意味があったのかなと思います(笑)

最後に、私の尊敬する救助隊時代の小隊長に言われた言葉を紹介して、終わりたいと思います。

「救助方法に正解はない。救出できたらすべて成功だし、救出できなければすべて失敗。」

では、また✋

-概念
-, ,

© 2024 元消防士と学ぶロープアクセス・ロープレスキュー講座 Powered by AFFINGER5