どうも、ゆうだいマンです。
今回は、三角関数(サイン、コサイン)、ベクトルの話をしていきたいと思います。
サイン、コサインという単語を聞いただけで、アレルギーが発動してしまう方も多いかもしれませんが、実はかなり身近な数学であり物理なんです!
この考え方が少し身につくだけで、支点にどれだけの負荷がかかるのか、過負荷による危険はないのかということに気づけるようになるはずです。
それでは、いきましょう!
三角関数の歴史
三角関数は、地形の測量における計算の中で生まれました。
1つの辺の長さとその間の角がわかれば、もう1つの辺の長さもわかるというのが三角関数です。
余談ですが、紀元前には三角関数を応用して、地球・太陽・月の大きさとその星までの距離がわかっていたというのは驚きです(笑)
物理の世界へのつながり
そして、三角関数は物理の世界へと応用され、われわれがよく聞くあの単語へと繋がります。
それは、「ベクトル」です。
このベクトルを使うことで斜めにかかる力を鉛直方向と水平方向に分解し、それぞれの力の大きさを計算することが可能になり、先日投稿した「ニュートン力学」が発展していき、現在のあらゆる物理学へと進化していきました。
三角比
ベクトル
ベクトルは、先ほど述べたように「方向と大きさを表したもの」。
さらに、ベクトルは「合成と分解を行うことができる」というのが大きな特徴を持っています。
それを図化したのが下の図です。
ロープアクセス・レスキューでどのように使うか
三角関数の考え方を使うなと感じる瞬間は、「複数のポイントから支点を分散して持ってくるときの支点への負荷」や「ベクトルプルを使うとき」です。
詳しいベクトルプルについての解説は、記事を出したいと思います。
1ポイントの場合
球の質量をm、球にかかる重力をmg、球を吊っているロープの張力をTとします。
この際、鉛直方向の力の釣り合いで考えると、mg=Tという関係が成立します。
2ポイントの場合
先ほど同様、鉛直方向での力の関係を考えていきましょう。
鉛直方向
$$mg=T1cosθ+T2cosθ$$
2ポイントは2本のロープに均等にテンションがかかるためT1=T2、これらをTと置きます。
ゆえに、
$$mg=2Tcosθ$$
$$T=\frac{mg}{2cosθ}$$
ここで、計算をわかりやすくするために式を変形します。
ロープのなす角をθ'とする。(θ'=θ+θ)
すると、
$$T=\frac{mg}{2cos(\frac{θ'}{2})}$$
少し、複雑になってきましたね(笑)
球にかかる重力を100Nとするとロープの張力、つまり、支点にどれだけの負荷がかかるのかをわかりやすく表にまとめると
2ポイントの角度[°] | 0° | 30° | 60° | 90° | 120° | 150° | 180° |
支点にかかる負荷[N] | 50N | 51.8N | 57.8N | 70.9N | 100N | 193.4N | 200N以上 |
2ポイントから支点を持ってくるときに120°以内に角度を設定する理由は、それ以上の角度になると、引揚げを行う要救助者やアクセスを行うロープユーザーよりも大きな負荷が支点にかかることになります!
2ポイントで荷重を分散させる意味がなくなってしまいます(泣)
まとめ
このように根本的な理論を抑えておくことで、安易に分散した支点の角度を大きくすることが、どれだけ危険な行為なのかを数値的に理解することができます。
今回は、少し難しい話でしたね^^;
同じような計算式で3ポイントの場合の計算もできるので、興味のある方はぜひ!
では、また✋