
どうも、ゆうだいマンです。
今回は「落下率」について考えてみたと思います。
この概念はロープを使って仕事をする人たちだけでなく安全帯やフルハーネスを使い自己確保を取るような人たちにも必要な知識です。
大きな衝撃は長い距離落下したときはもちろんのこと、1m程度の落下でも人命に影響を与えるほどの衝撃が発生する可能性があります。
そのような状況にならないためにも、気をつけておくべきことを確認していきましょう!
落下率とは?
そもそも、先ほどから何度も出てきている落下率とは何のことでしょうか?
落下率は別名「落下係数」ともいいます。
落下率とは、落下距離をロープの長さで割った値のことです。
この値を知ることで落下による衝撃を予測することができます。
$$落下率=\frac{H(落下距離)}{L(ロープの長さ)}$$

L=ロープの長さ,H=落下距離
ロープユーザーの落下により発生したエネルギーはロープの伸びやユーザーの身体に吸収されます。
そのときにかかる力を衝撃荷重といいます。
ちなみに、ユーザーのカウズテール(ランヤード)にダイナミックロープが使われる理由は、ほとんど伸びないスタティックロープで落下してしまった場合、衝撃荷重がロープの伸びに吸収されず、ユーザーの身体に大きな力がかかってしまうからです。
落下率を計算してみよう!
実際に落下率を計算してみましょう!
$$落下率=\frac{H(落下距離)}{L(ロープの長さ)}$$
(例)高取り支点に確保を取り1mのロープで0.2m落下した場合
$$落下率=\frac{H(落下距離)}{L(ロープの長さ)}$$
=\frac{0.2m(落下距離)}{1.0m(ロープの長さ)}$$
=0.2
(例)足元の支点に確保を取り1mのロープで2m落下した場合
$$落下率=\frac{H(落下距離)}{L(ロープの長さ)}$$
=\frac{2.0m(落下距離)}{1.0m(ロープの長さ)}$$
=2.0
理論上では落下率が同じであれば同じ衝撃荷重がかかることになります。
50cmのロープで1m落下と50mのロープで100m落下が同じというのは不思議な感じもする(笑)
落下率を知ることでなにがわかるのか?
実際、この落下率の数字を知ることで何がわかるのでしょうか?
下の表はどれくらいの力が身体にかかったらどのような損傷が発生するのかを表したものです
6kN | 内臓や骨格に損傷が起こる恐れがある。 | 落下率0.5 |
8kN | 死には至らない場合でも、重篤な損傷を受ける。 | 落下率1.0 |
10kN | 死亡する可能性が高い。 | 落下率2.0 |
この表からは落下率とその衝撃でどのようなダメージが人間にあるかということがわかります。
例を挙げますと、1mのカウズテール(ランヤード)を膝下あたりの高さ(30cm)に取り(下図を参照)、落下したときの落下率は1.3となる。

落下率1.3とは、身体に重篤な損傷を与えてしまうような衝撃であると言えます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回の記事で最も言いたかったことは、短いロープでも障害を負ってしまうような落下は起こりうるということです。
自己確保を取る際は、落下率を抑えるために腰より上の支点でバックアップを取るようにしてください。
足元の支点に確保を取ることはもっての外です。
新人教育の際も「確保は腰よりも上で取るように」と言葉で教えるだけでなく、落下率の理論を伝えると危険性がわかっていただけるのではないかと思います(^^)
では、また✋