レスキュー

サスペンションシンドローム(トラウマ)について知ろう

どうも、ゆうだいマンです。

今回は、ロープユーザーとして知っていなければならない「サスペンションシンドローム」という疾患の話をしていきたいと思います。

これは宙吊りになった要救助者に限った話ではなく、長時間作業をするロープユーザーにも起こりうるものです。

自分がサスペンションシンドロームにならないための自己管理、要救助者を救助する際の注意点として知っておいてほしい内容となっています。

今回は、写真なしの文章のみなのでうざったいかもしれませんが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

それでは、いきましょう!

地震発生したときに多発する「クラッシュシンドローム」

みなさんは「クラッシュシンドローム」という疾患をご存知でしょうか?

地震発生時に多発するあれですね。

消防士の人たちはおそらく知っているのではないかなと思います。

クラッシュシンドロームとは、建物等の重量物が崩壊し人間の体を長時間圧迫し、その圧迫を解除したときに急性腎不全高カリウム血症により死に至ってしまう疾患です。

建物の崩壊等により筋肉が長時間圧迫されると、筋肉細胞が障害・壊死を起こします。

それに伴いタンパク質やカリウムといった物質が血中に混じると毒性の高い物質が蓄積されます。

そして、救助されるときに圧迫されていた部分が解放されると、血流を通じて毒素が急激に全身へ広がり、高カリウム血症による致死性不整脈で死に至るケースが多く見られます。

さらに一命をとりとめた場合でも、腎臓にもダメージを受けているため腎不全で亡くなってしまうこともあります。

腎臓の働きは血液中の老廃物をろ過する役割があります。

タンパク質やカリウムのような比較的大きさのある物質は、腎臓内の老廃物をろ過するためのフィルターのような部分に詰まってしまいます。

そのため、腎臓の正常な活動が阻害されてしまい腎不全になってしまうという流れになります。

サスペンションシンドロームとは

なぜ、クラッシュシンドロームの話をしたのかというと、同じような症状がフルハーネスを使用したロープアクセス・レスキューを行っているときに出る可能性があるからです。

2時間くらいロープにぶら下がり、休憩や作業終了して撤収をしているときに気分不良や軽度の筋肉痛や手足のしびれ、脱力感などの症状を感じたことはありませんか?

私は、長時間の作業をするときに感じることはあります(笑)

かなり軽度ですが。

世界的にもロープアクセス・レスキュー中にクラッシュシンドロームと似たような症状を発症し、死亡したケースがあります。

ですので、このようなフルハーネスによる圧迫及び圧迫解除による急性腎不全や高カリウム血症のことをサスペンションシンドロームと呼ぶようになっています。

この症状はまだメジャーではないですが、これからロープ産業の発展に伴うロープユーザーの増加で症例が増えることが予想されます。

どのように対応するか

おそらく最もやりがちな失敗パターンとしては、ロープに吊られている要救助者を救出するときです。

要救助者をはやく救出したい気持ちはよくわかります。

ですが、救出する前にサスペンションシンドロームのことを思い出してください。

現場でできることは、ロープユーザーや救助隊員が要救助者の圧迫解除する手前まで救出しておき、ドクターや救急救命士の輸液(俗に言う点滴のこと)を確保してもらってから圧迫を解除するということです。

この輸液を省略してしまうと、致死性不整脈や急性腎不全で死に至ってします可能性があります。

もしかすると、サスペンションシンドロームのことを知らないドクターや救急救命士がいるかも知れないのでそのときは、ひとこと助言できるとすごくいいです(笑)

また、サスペンショントラウマ防止ストラップというツールもあるので持っていると良いかもしれません。

まとめ

新しいテクノロジーが発達すると新しいシンドローム(症候群)が出てくるものです。

レスキューを生業とする救助隊員だけでなく、すべてのロープユーザーがロープアクセス・レスキュー時に発生する可能性がある疾患やケガの応急手当など一通り勉強しておくといいかもしれませんね。

このブログでも発信していこうと思います。

事故が起こらないに越したことはありませんが、危機管理は必要。

今日の仕事も安全に!

では、また✋

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